メンバー

代表取締役 浅井由剛

浅井由剛(あさい ゆうごう)

株式会社カラーコード代表取締役
京都芸術大学 准教授
創造性アート思考研究会 代表幹事
武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒。

大学卒業後、3年間世界各国を遊学し多様な価値観や生活様式を学ぶ。
帰国後、ライフスタイル・アパレル業界のアートディレクターを経て2008年に株式会社カラーコード設立。グラフィックデザイン・ブランディングを多数手掛ける。並行してデザイナーの知見を活かした、一般向けのデザイン講座、企業研修の講師を開催している。2012年、子どもたちとローカルマガジン制作の活動「COLOMAGA project」を起こす。2018年キッズデザイン賞受賞・2023年グッドデザイン賞受賞。
現在は、アート思考、デザイン思考を活用した地域づくり、観光ブランディングをおこなっている。

誰の中にもある創造性を引き出し 一緒に新しいものをつくる

デザイン会社というと、広告代理店から依頼された制作物をデザインして納品するというのが一般的かもしれませんが、カラーコードではそういう仕事は本当に少ないです。

プロジェクトがあるとその構想段階から参加して、一緒にプロジェクトを作り上げその中で必要な制作物をデザインすることが多いし、またプロジェクトの案を企画したり、関わっている人たちをまとめてイベントやワークショップの立案から実施までを担当することも多いです。
その過程で、関わっている人たちの発想転換というか、それぞれの中に眠っている創造性を引き出す取り組みもして、その結果、共同作業していたら最初考えていた定型的なものとは全く違う次元の、素晴らしいものができあがったーーというのがカラーコードの目指すところです。

このような考え方に至ったのは、以前に子ども向けのワークショップをやったことが原点かもしれません。クリエイターの仲間たちと「子どもにワークショップをやってみよう」という話が出て、千葉にある商業施設の一角を借りて行っていました。段ボールで大きな家をみんなで作ったり、大きなホワイトボードにみんなで大きな絵を描いたり。この活動は5年ぐらい続きました。

人の中にある創造性を引き出す取り組み

子どもたちがちょっとしたヒントでみるみる創造性を発揮していくのを目の当たりにして、創造性を引き出すことにますます興味が深まって、いろいろ勉強していたんです。
そうしたら、東北芸術工科大学で展開されていた「生きる力を育む芸術デザイン思考による創造性開発拠点の形成」という活動に研究員として参加させてもらうことになりました。
そこで子どもたちに「友達のロゴマークを考えてみよう」とか「物語の中の自分を表現しよう」というワークショップをやりました。
その後、産業能率大学の方と知り合って「デザイン講座をやりましょう」ということになり、社会人向けのデザイン講座を開催しました。それが好評で、続いて産業能率大学と一緒に東京都特別区の職員に向けて「デザイン講座」を行うようになりました。

チラシをきれいに作るコツを教えて欲しいという声も多くあります。
職員の方がチラシを作ることも多いですからね。
つまりレイアウトの仕方や色やフォントの使い方、いわば方法論を教えて欲しいというオーダーなんですが、それでは本当に訴求力のあるものは作れない。
チラシをきれいに作るには、前提としてチラシにどんな内容を記載するのか、そしてその中の優先順位はどうつけるか、さらに、そのチラシで誰にどういうコミュニケーションを取りたいかということをしっかり考えなければならないんです。
世の中にある活字やポスター、ピクトグラムも、デザイナーがデザインして世の中に広まったものですよね。その背景には「こういう場面でこういう人にこの内容を伝えたい」という意図があるわけで、単に「きれいなデザインをしましょう」と、一部を切り取っても本当に効果のあるチラシはできない。それをまず、参加者に分かってもらうことから始めました。

独自の創造性を生み出すためには、ネットや既存の情報を持ってきて終わりではなく、自分をよく知り、自分の見方を確立してアイディアを出す必要があるわけで、それをサポートするツールをオリジナルで作れたらいいなと思っています。実際、ある出版社と「なにか形にできないか」と話していているところなので、近々製品化するかもしれません。
あるいは、アート思考に基づいた考え方の訓練を、国の教育プログラムに採用してもらうことにも、いずれ取り組んでいけたらと考えています。

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